基礎の施工
今回、下の画像のようにX方向芯~芯6500ミリ、Y方向芯~芯7500ミリで三スパンとし、 地中梁を450*2000、柱配筋のサイズは800*600、外周の壁をW180、X2~X3通りの壁をW150、 土間スラブの厚を150ミリ、階高2700ミリ、二階の梁が400*600・スラブ厚150ミリ、 ベランダスラブ厚150ミリ~180ミリ、手摺りの厚さを120ミリという条件での基本的な施工法を紹介します。
また、「直接基礎」・「べた基礎」という条件で説明します。 基礎は外周20ミリコンクリートを増し、1F立ち上がりからは外周10ミリコンクリートを増すとして仮定して、 下の表の定着と継手という条件で説明します。
鉄筋の種類 | コンクリートの
設計基準強度 |
定着の長さ
・一般(L2) |
定着の長さ
・小梁下筋(L3) |
定着の長さ
・スラブ下筋(L3) |
特別の定着
・継手の長さ(L1) |
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SD295A・SD295B・SD345 | 150・180 | 「40d」または
「30d+フック(付き)」 |
「25d」または、
「15d+フック(付き)」 |
「10d」
かつ「150」以上 |
「45d」または
「35d+フック(付き)」 |
柱の施工
ベース配筋は、地中梁に一定の定着をとり、 地中梁と合体して、柱配筋はベースの下筋の配筋後に上に立ち上げ配筋して、 地中梁は柱配筋に定着をとり柱配筋と合体して、一体の基礎となります。
下の画像は、断面詳細図です。 施工図の寸法を基準にして、組み立てる鉄筋の太さの決められた定着(=ノミコミ)、 および、適正位置での決められた継手(=ジョイント)の長さを確保して、 鉄筋を加工して組み立てます。
柱の躯体が、800*600で柱配筋が6-D22・HOOPD13@100と 仮定して、説明します。
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定着(=ノミコミ)
柱の地中梁に対する定着は、地中梁の上端からL1(=22*45=「990」以上)で、 かつ、柱筋の下端に「150ミリ」以上のアンカを折り曲げなければなりません。 なので、地中梁の梁背が低い場合は、アンカを長くする必要も出てきます。 地中梁の梁背が高い場合でも、実際には「150ミリ」以上のアンカに余裕をみて「50ミリ」~「100ミリ」程度長く加工します。 その方がベース筋に絡み、柱の主筋が下がる心配がありません。
都営住宅等の場合、柱筋のアンカを「150ミリ」よりも長くするように記載されている場合が有るので要注意です。
柱配筋(=主筋)の本数が階ごとに増えたり減ったりする場合は、 梁(梁の躯体の上端又は下端)に対してL2( *現場によりL1の場合も有ります。)以上の長さの定着(=ノミコミ)が必要となります。
最上階の柱筋の四隅の上部
最上階の柱筋の四隅の上部には、すべてフック(=切断寸法「+10d」)を付けなければなりません。
フックを付ける場合(=切断寸法「+10d」)、 その柱筋の四隅の上部のフックの向きは、当然、柱に対して内向きにします。
継手(=ジョイント)の位置
継手(=ジョイント)を設ける場合の位置は、 SLラインから上の階の梁底までの距離をスパンL=「ho」と考えて、 スパンL=「ho」を4等分に分割し、上下の末端のho/4を端部、中央のho/2を中央部とします。 その中央の「ho/2の中央部の範囲」に「継手位置」を設ける事が望ましいとされています。
標準的には、柱筋(=主筋)に「150ミリ」以上のアンカをとり、 ベース筋の下筋の上に乗せて配筋して、1FのSLラインから「1000ミリ」伸ばした寸法で加工します。 そして、同じ方法でその「1000ミリ」の位置から、さらに「500ミリ」伸ばした寸法で加工して、 となりの柱筋(=主筋)として互い違いに交互に配筋します。
HOOP(帯筋・柱バンド)
現在、HOOP(帯筋・柱バンド)の「かぶり」は、基礎部分も一般階も構造体(=躯体)から「50ミリ」とる事が、 一般的とされています。
1階のHOOPが「D13@100」ならば、D13のHOOPをベースの下筋の上に「捨てHOOP」を1本と梁の「上筋の受け」に1本を配筋して、 その間を「150ミリ」以内の間隔で配筋します。
SLラインに必ずHOOPを1本配筋して、上の階の梁の躯体の下端にも必ず1本配筋します。 ピッチが「@100」と指定されているならばSLラインから上の階の梁の躯体の下端までを「100ミリ」の間隔以内で配筋します。
柱筋のかぶり
柱筋のかぶりは、具体的にはHOOPの外面から仮枠までの間隔を言います。 この「かぶり」の間隔が足りないとコンクリートの流れに影響を与えるため、重要視されています。
柱筋のかぶりは、現場の最初の打ち合わせ時に確認を取ります。 一般的にはコンクリート構造体から「50ミリ」の「かぶり」をとります。 コンクリートの構造体が「800*600」ならば、HOOPのサイズは「700*500」となります。 ( *コンクリートの構造体が基準で「かぶり(=50)」をとり、それを基準にしてコンクリートの増し分をプラスします。)
*基礎の柱の側面のかぶり「50ミリ」(HOOPの外面~構造)=「土に接する部分>梁=50ミリ」と解釈> 施工図で基礎の全外面を「+20ミリ」コンクリートで増す=合計「70ミリ」
パネルゾーン(大梁との交差部分)
柱の「地中梁や一般階の大梁」に絡む部分を、「パネルゾーン」と言います。 一般的には、この「パネルゾーン」のHOOPのピッチは、「@150」とされています。 (*稀に「@100、又は、一般階と同ピッチ」という場合も有ります。)
また、2階よりも上の一般階の「パネルゾーン」も同じように「@150」の間隔で配筋します。
上の階で柱の位置が変わる場合
下の画像は、上の階で柱の位置が変わる場合です。 スラブに絡む場合は、スラブに対して片アンカーの差筋を追加して、 スラブに対して「L1」以上の長さのノミコミをとります。 (*注意:現場により指示が違う場合が有ります!)
梁に絡む場合は、梁に対して片アンカーの差筋を追加して、 梁に対して「L1」以上、かつ、アンカーの長さ「150」以上の長さのノミコミをとります。 (*注意:現場により指示が違う場合が有ります!)
パネルゾーンの処理
下の画像は、「パネルゾーンの処理」方法です。 「D」の間隔が「パネルゾーン」の範囲となります。「D」=「パネルゾーン」
柱の「地中梁や一般階の大梁」に絡む部分を、「パネルゾーン」と言います。 一般的には、この「パネルゾーン」のHOOPのピッチは、「@150」とされています。 (*稀に「@100、又は、一般階と同ピッチ」という場合も有ります。)
下の画像の左側の例は、「e」=「D/6」、かつ、「e」<「D/6」の場合の処理方法です。 柱の幅の長さが変わる場合、柱筋(主筋)を「柱の幅の長さが変わる部分」の度を折り曲げて(ハンチ)、 鉄筋をそのまま通します。
下の画像の右側の例は、「e」>「D/6」、かつ、段差が絡み(この画像は、梁が三段の場合です。)「e」の長さが長い場合、 四隅にあたる柱筋(主筋)の頭頂部にフックを設けて、 その他の鉄筋(下の画像では角から2番目の主筋)は頭頂部をスラブ上面から「50ミリ」~「100ミリ」(かぶり)の位置で配筋します。
原則としては、その現場の”打ち合わせ”で決定します。
HOOPの継手位置
HOOPの継手は、両側から「135度のフック」を設けて引っ張りの力に抵抗する形状で加工します。 ( 下の画像の右上の「形状」が、HOOPの「形状」です!)
隣り合うHOOPの継手位置は、互い違いに交互にずらします。 防衛省の現場では、隣り合うHOOPの継手位置が1か所でも同一方向が有った場合、 必ず是正指示を受けます。(=配筋の組み直し)”次から気をつけます!”は、通用しません。
*上記の仕様はあくまで一般的な仕様の一例です。( だいたい共通しているはずです。) 現場ごとに仕様書の記載が違う場合があります。 また、現場により仕様書の他にマニュアルが有る場合は両方を照らし合わせて、 両方の規定値をクリアする必要が有ります。 その現場の仕様書に従った加工方法で施工してください。
スペーサー(=@1000)
柱筋のスペーサーは、建物の外周で基礎の部分は、コンクリート「20ミリ」増しなので、 ドーナツ型の「70ミリ」のものを使用し、建物の外周で一般階はコンクリート「10ミリ」増しなので、 ドーナツ型の「60ミリ」のものを使用します。
その他の建物の内側に関しては、「50ミリ」のドーナツ型のスペーサーを使用します。
ドーナツ型のスペーサーは、SLラインから「1000ミリ」と「2000ミリ」の2段設置する事が正統です。
「ドーナツ型のスペーサーの個数」={「1面2か所」*4面*2段=柱1か所「16個」}*8台分=「総合計個数=128個」
「基礎部分」=「128個」=外側「70ミリ(=48個)」+内側「50ミリ(=80個)」
「1F柱配筋部分」=「128個」=外側「60ミリ(=48個)」+内側「50ミリ(=80個)」
柱筋の計算方法
柱の躯体が構造で「800*600」、建物の外側が基礎部分で「20ミリ」のコンクリート増しで、 建物の外側が一般階で「10ミリ」のコンクリート増しで、 柱が8本の内、4本が「2F=最上階」・4本が「3F=最上階」とします。
柱主筋が6-D22・「HOOP」ーD13@100という配筋です。
捨てコンクリートから地中梁の梁背が「2000ミリ」、その上に土間スラブが「150ミリ」がのり、 1Fの階高が「2700ミリ」、2F大梁の高さが「600ミリ」という条件を仮定して計算します。
主筋の計算方法
地中梁の柱筋の計算方法
まず、ベース下端の「かぶり」が「70ミリ」で、ベース下筋が主筋D16ミリ・配力筋D16ミリ ・捨て「HOOP」D13ミリをすべて足すと、「115ミリ」です。 梁背の「2000ミリ」から「115ミリ」を引くと「1885ミリ」(=柱筋の下端から地中梁上端までの距離)です。
基礎部分の柱主筋のアンカを「200ミリ」にして、「1885ミリ」(=柱筋の下端から地中梁上端までの距離)と、 土間スラブが「150ミリ」と、「1000ミリ」を足して、合計「3235ミリ」なので、切断寸法を「3250」にします。 これで柱筋の短い方の片アンカの計算は、「OK」です。
柱筋の長い方は、「3235ミリ」に「500ミリ」足して、切断寸法を「3750」にします。
アンカ「200」のD22ミリで、切断寸法ー「3250」を3本×8台分で合計「24本」
アンカ「200」のD22ミリで、切断寸法ー「3750」を3本×8台分で合計「24本」
という事になります。
「柱主筋の切断寸法」=「アンカの長さ」+「梁上端から捨てHOOPまでの長さ」+「土間スラブの厚さ」+「1SLからの出の長さ」・「1か所の本数」*「8台分」=「総合計本数」
「200」+「1885」+「150」+「1000」=「3235」>「切断寸法3250」・3*8=「24」
「200」+「1885」+「150」+「1500」=「3735」>「切断寸法3750」・3*8=「24」
1F柱筋の計算方法
次に、1F柱配筋の4本が「2F=最上階」の場合、 階高が「2700ミリ」なので、「2700ミリ」から「1000ミリ」引いて「1700ミリ」、 「2700ミリ」から「1500ミリ」引いて「1200ミリ」、となります。
まず、四隅の鉄筋をフック付きにしなければならないので主筋を計算します。
D22ミリのハタラキ「1700ミリ」に、フック分の「220(=10d)」を足して、切断寸法「1920」が1か所2本×4台分で合計「8本」
D22ミリのハタラキ「1200ミリ」に、フック分の「220(=10d)」を足して、切断寸法「1420」が1か所2本×4台分で合計「8本」
となります。
次に、四隅以外のフック無しの主筋を計算します。
D22ミリの「1700ミリ」に、が1か所1本×4台分で合計「4本」
D22ミリの「1200ミリ」に、が1か所1本×4台分で合計「4本」
となります。
1F柱配筋時に、圧接する際には、柱筋の「出」をSLから正確に「1000」と「1500」に、 切断してから上記の材料を圧接します。
柱筋は、圧接すると最上部の「かぶり」分(だいたい「50ミリ」~「100ミリ」程度)縮小されます。 ( 実際には、圧接する人により縮小される長さが違います。)
四隅フック分={「階高」-「SLからの柱筋の出の長さ」=「柱主筋のハタラキ」}+「フック(=10d)=「切断寸法」・「本数」
{「2700」-「1000」=「1700」}+220=「切断寸法1920」・2*4=8
{「2700」-「1500」=「1200」}+220=「切断寸法1420」・2*4=8
四隅以外の切りっぱなし分={「階高」-「SLからの柱筋の出の長さ」=「柱主筋のハタラキ」}
{「2700」-「1000」=「1700」}・{「2700」-「1500」=「1200」}
「切断寸法1700」>1*4=4・「切断寸法1200」>1*4=4
1F柱配筋の4本が「3F=最上階」の場合、 階高が「2700ミリ」なので、近似値>「2750ミリ」で計算すると、 2階のSLから同じ条件で、柱筋の「出」の分の距離(「1000」と「1500」)が伸びます。
D22の切りっぱなしの「2750ミリ」を1か所6本×4台分で合計「24本」と計算します。
「上の階も続く場合の柱主筋」=「階高=2700」>「2750」=「1か所の柱主筋の本数」*「4台分」=「総合計本数」
「切断寸法2750」=6*4=「24」
「HOOP」の計算方法
基礎部分(「700」*「500」)
基礎部分の「HOOP」の本数は、地中梁の「パネルゾーン」が梁上端から「1885」の寸法でもう解かっているので、 「1885」から上筋の受けの位置の「88」引いて、「1797」をピッチの@150で割ります。 「11.98」となるので、小数点以下をラウンドアップして「12」、「0」の1本をプラスして「13本」となります。
「パネルゾーン」が「13本」で、土間の厚みが「150」なのでプラス「3本」、SLラインに「1本」、 柱筋の最上部に「1本」で、合計「18本」に「8」台分かけて、総数「144本」となります。
「HOOP」の切断寸法は、{(「縦」+「横」)*2}+「150ミリ」です。 (「150」はフックの最小寸法で、長さは個人で判断してください。)
「HOOPの切断寸法」=(「横の寸法」+「縦の寸法」*2)+「フック」
(「700」+「500」*2)+「150」=「切断寸法2550」
「HOOPの本数」={「梁上端~捨てHOOPまでの距離」-「梁上端から梁上筋受けまでの距離」/「ピッチ@150」=「数値」>「小数点以下切り上げ」>「実数量」}
{「1885」-「88」=「1797」}/「150」=「11.98」>「12」>「13」
{「パネルゾーンの本数」+「土間スラブ分の本数」+「SLラインの分」+「上部抑え分」=「1か所合計本数」}*8か所分=「総合計本数」
{「13」+「3」+「1」+「1」=「18」}*8=「144」
1F柱部分(「700」*「500」)
1F柱部分「HOOP」の本数は、階高が「2700ミリ」から、2Fの大梁の梁背「600」を引くと、 「2100ミリ」となるので、ピッチの@100で割ると、合計「21本」となります。 この「21本」に台数分「8」台分をかけると、総数「168本」となります。
「HOOP」の切断寸法は、{(「縦」+「横」)*2}+「150ミリ」です。 (「150」はフックの最小寸法で、長さは個人で判断してください。)
「HOOPの切断寸法」=(「横の寸法」+「縦の寸法」*2)+「フック」
(「700」+「500」*2)+「150」=「切断寸法2550」
「HOOPの本数」={(「階高」-「2F梁の高さ)=「1F柱配筋部分」/ピッチ(=@100)*8台分=「総合計本数」}
{(「2700」-「600」=「2100」)/100=「21」}*8=「168」
柱配筋の組み立て方
柱配筋の組み立て方を、下の画像を参照して説明します。
一般的には、基礎組立時に柱主筋の最上部にHOOPを1本で、主筋の間隔を一定にして結束して決めます。 1Fコンクリート打設後、柱配筋時にはその柱主筋の最上部の結束してある1本の「HOOP」の結束をバラしてそのまま下に下げます。
①>2Fの大梁の下端がSL+2100(=2700-600)なので、 D13の700*500のサイズの「HOOP」を、ピッチが@100なので「合計21本」を、1本ずつ主筋を囲み下まで下げます。 その時は、「HOOP」のフックの位置を互い違いに交互にずらします。
②>柱の主筋を圧接します。 圧接終了後、角の主筋に(ペンやチョーク等を使用して)ピッチ(=@100)を決めます。
③>下に下げておいた「HOOP」を2Fの大梁の下端のSL+2100(=2700-600)に配筋して、 上から順番に1本ずつ上げてはピッチ(=@100)通りに2~3箇所結束して高さを決めます。
④>すべての「HOOP」の高さがそろったなら、ピッチ(=@100)に合わせて角の主筋を全結束して、 残りの面の主筋を主筋の間隔も一定にしてから、1つ置きに結束します。 「SL+2000」と「SL+1000」の位置の「HOOP」に、 建物の外側に「60ミリ」・建物の内側に「50ミリ」のドーナツ型のスペーサーを付けて終了です。
「壁構造」の壁の組み立て方も、基本的には同じ要領で組み立てられます。
DOWNLOAD
このページの「A4版・切寸・本数自動計算‐形状・口径~入力タイプ」での、 加工帳のサンプルを下記の欄からDOWNLOADできます。(もちろん重量も自動計算です。)
A4版・タイプ | Windoes MicroOffice Excel | A4版加工帳(ベース配筋).xlsx.zip | DOWNLOAD |
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