工程管理

鉄筋工事の工程と拾い出しと加工帳

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施工管理

 鉄筋工事をする上で、計画通りの工程で進行しているかどうか?、 要求されている品質を満足しているかどうか?、 採算性はどうか?、早めに原因を追求して改善を計るということが施工管理です。

施工計画・工程管理

 施工管理の進め方の基本的な手順は、 「計画 > 実施 > 検討 > 計画」がサイクルとなり、 より良い、より早い、より安い、より安全な施工の水準をめざし、 レベルアップされていく過程が考えられるべきです。

三大管理機能

 工事の品質、工期および経済性を確保し向上させるためには、 工程管理、品質管理、原価管理が必要です。

 この基本的な3つの管理を、「三大管理機能」といいます。

鉄筋工事の工程管理

 鉄筋工事にも、「三大管理機能」があてはまります。

「段取り八分」

 現場が大きければ大きいほど、 「段取り」しだいで工期や採算性が決まります。

 「段取り」が悪ければ、いくら頑張っても作業自体がきつく感じて、 工期も延びて採算が合いません。 しかし、「段取り八分」しっかりしていれば、 作業が効率良くさらに比例して採算も合うように余裕が出てきます。

 「段取り」は、最初が肝心です。 十分な打ち合わせ>材料の搬入方法>担当人員の配備>作業場所への材料移動等、 各ポイントを押さえる必要が有ります。

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材料の搬入方法

 材料の仮置きは、なるべく場所を広げずに端を揃えて形状別・口径別・長さ順に並べて、 (後ですぐに材料を探せるように!) アンカ等絡まぬように効率のいい置き方を心がけましょう。

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  1. なるべくなら、形状・口径・切断寸法の近いものをまとめる!
  2. 生材は、片端を揃えて長い順に並べる!
  3. 片アンカは、アンカを揃えて長い材料は外側・短い材料は内側にまとめる!
  4. クランクは、片アンカの外側に置き長い材料は内側・短い材料は外側にまとめる!
  5. 両アンカは、長い材料は外側・短い材料は内側にまとめる!

 以上のように材料をまとめると、スペースを効率良く場所をとらず余裕ができます。 また、後で材料を探す時に容易に見つかります。

 原則として、違う材料を重ねてはいけません。 やむをえない場合は、先に取り付ける材料を上に重ねます。 (たとえば、一般階の梁・スラブの材料搬入時の際、スラブの材料の上に梁の材料を重ねる等~。)

 なるべくなら、ベース配筋の際は現場内の構造の墨の上には、 材料の仮置きは避けた方がいいです。 一般階の場合は、一スパン内に仮置きをまとめます。

 いずれにせよ、整理・整頓・清潔、又、有効スペースは有効利用して、 整備された環境で安全作業をしましょう。

 *材料を取付場所に移動して仮置きする場合も、 基本的には同じ方法でまとめる事が理想です。

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段取りのタイミング

 段取りのタイミングで最悪のケースは、 大勢の人員をひとつの場所に配置して大勢で同じ作業をするケースです。 一見、作業のスピードが速いかのように見えますが、極めて一時的な事です。 大勢の同じ作業が終われば、その同じ作業をしていた全員の手が同時に止まり次の作業に戸惑います。 (=「ドタバタ作業」)

 世話役(親方・責任者)は、各作業員の一つの作業が終わる前に、 各作業員の次の作業の「段取り」を終えなければなりません。

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ひとつの作業の分類

 ひとつの作業の流れを分析すると、だいたい下記「1~7の項目」のように分類できます。

  1. 施工図を見て躯体の寸法を確認
  2. 配筋図を見て材料やピッチの確認
  3. ピッチ割(ペンやチョーク等で)
  4. 必要な材料を組立場所に移動
  5. 材料をピッチ通りに並べる
  6. 結束
  7. スペーサー
  8. 清掃

 世話役(親方・責任者)は、各作業員ひとりひとりよく観察して下記の分類した工程のどの部分が苦手で、 どの部分が得意かよく見極める必要が有ります。 各作業員の苦手な部分を分析できたなら、今度はその苦手な部分が”なぜ?苦手なのか?”を確認して、 各作業員の実際の能力を判断できます。

 ”仕事は見て覚えるもの!”だけじゃなく、やはり、教える場面も必要です。 応援の作業員やベテランの作業員に作業の説明をしなければならない事と同じように、 経験の未熟な作業員にも、当然、最低限の説明は必要です。

 ある程度のレベル以上の段取りと説明がしっかり出来ていて、 各作業員にある程度のレベルが有れば「女性」でもそこそこの作業はできます。

 世話役(親方・責任者)は、各作業員ひとりひとりに”自分は、次に何をどんな方法で、どの部分の、どんな作業すればいいのか?”を、 常に先周りして段取りして指示する必要が有ります。

 世話役(親方・責任者)は、各作業員とは次元と役割が違うのです。 ただ単に個人的な技術の競い合いをしたいのならば、「ひとり親方」でいた方がいいのではないかと思います。 ただ、現場はひとりでは工期内に完成する事ができません。 世話役(親方・責任者)は、”どのくらい、各作業員が現場で作業しやすい環境に出来るか?”とういのが、 最大の課題です。これは、どの企業にも言える事です。

 ただ、各作業員からは世話役(親方・責任者)は、威張っているように見えますが、 実際には人から教わるよりも、教える方が大変で、人から雇用されるよりも、雇用する人の方がはるかに大変なのは事実です。 相手が、”何が解からないのか?どこで悩んでいるのか?”言われなければ、いくら上司でも解かりません。 各作業員を雇用する際、各作業員自身も協調性の有る人材を良く見極めて選考する必要が有ります。 世話役(親方・責任者)だけ頑張っても現場の進行が進みません。

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担当人員の配備

 段取りを先行するために、「担当人員の配備」が必要です。 世話役(親方・責任者)は、適材適所を見抜き各作業員に具体的な指示をしなければなりません。

 各作業員は、技術的なレベルが千差万別で、一年未満の経験の浅い人もいますし、 熟練工でも実際には一通りの正統な「段取り」ができない人の方が多い事が現実です。 「職人の個人的な技術」と「鉄筋工事全体の効率を考えた「段取り」=世話役(親方・責任者)の判断」は、 まったく別次元なのです。

 また、単独で個人的に仕事ができる技術と、 人に教える「指導力」は別です。 仕事ができるから教え方がいいとは限りません。

 よく、今までに見た経験や能書きだけをえんえんと解説する人がいますが、 ”そういう人に限って!”、 実際にやらせてみると見た経験だけしかないので能書き通りできないケースが多いものです。

 職人としての「個人的な技術」と、鉄筋工事の「全体の流れを管理する能力」は違います。

 そんな時は、「段取り」を細分化して、その「段取り」の一部分の作業を専門に責任を持たせて、 専念して担当するように指示して作業を分担すると各人負担が減少します。

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 世話役(親方・責任者)は、できれば頭の中に描いた鉄筋工事単独の工程表を図表で作成して、 あるときはガンチャート式、あるときはバーチャート式、あるときはネットワーク式の工程管理・作業手順を使い分けて、 具体的に作業工数を分類して 鉄筋工事全体単独の工程表を作成して各作業員とそれを基本に打合せた上で、 施工計画を管理する必要が有ります。

 要するに、世話役(親方・責任者)は、あるときは作業員全員で一工程を処理して、 あるときは作業を同時並行で進行し人員を配備するというセンスが試されるという事です。 ( 同時並行で次の作業の段取りを先周りする必要が有ります。) 基本的には、ネットワーク式の工程管理が望ましいという事になります。

 *工程表を作成した場合、だんだんと説明をしなくても作成者の頭に描いた進行を、 世話役(親方・責任者)がいなくても自発的に動いてくれるようになります。 あとは、各作業員個人個人の自分が担当する作業を指示してあげればスムーズに進行します。

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 やはり、大きな現場の作業責任者・作業主任・作業副主任・職長クラスの担当者(幹部)は、 複数の有資格者、かつ、熟練工(十分な経験者)である事が望ましい事が事実です。

 このように解説しますと、当然、世話役(親方・責任者)の仕事というのは、 まず、打ち合わせ(他業者共)・安全ミーティング・作業指示・作業点検・安全確認・段取り・品質確認 ・工程打ち合わせ・検査立ち合い・終了確認と一日の作業の責任や確認の幅が広く、 大きな現場であれば大きな現場ほど、自分が先頭になり鉄筋をかつぎ組立て結束して動きまわる必要は無く、 各作業員に指示するだけでいいのです。

 そのためには、「拾い出し」の時点ですでに段取りが始まっていて、 誰にでも解かるような配筋の詳細を書面に明細しなければなりません。 会社により配筋の詳細の明細方法は様々で、施工図上にそのまま記載する会社等が多く、 また、配筋要領書等の書類を提出しなければならないという現場も増えています。

 世話役(親方・責任者)が、各作業員に指示や説明もせずに、 先頭になり鉄筋をかつぎ組立て結束して動きまわると、 各作業員は何をすればいいのか解かりません。 皆、勝手にバラバラに行動して動き出します。 作業手順・段取り・すみやかな作業の進行を分析して工程を組立て指示する事が、世話役(親方・責任者)の役目です。 役目を果たした上で、余裕があればピッチ割や結束等すればいいのです。

 世話役(親方・責任者)が、各作業員に指示や説明もせずに、 先頭になり鉄筋をかつぎ組立て結束して動きまわる現場に、ろくな現場は有りません。

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作業場所への材料移動

 作業場所への材料移動は、重要です。 クレーン等で、作業場所のそばにまとめて必要な材料を配置する作業は、 もっとも重要で、最適な場所に必要な材料を配置する事により「鉄筋工事全体の効率」が大きく変わります。 (この人選に未熟な作業員を担当させては絶対にいけません。人選を間違えてはいけません。)

 現場にクレーン等設置されているのであれば、 そのクレーンをフルに活用して、各作業員は直近の場所から材料を組立てられるように、 材料を配置すれば作業が効率よく進行します。

 原始的な「鉄筋屋」さんは、”鉄筋屋が鉄筋をかつぐのはあたりまえ”と考えます。 ”クレーンで移動するより、鉄筋をかついで移動した方が早い!”と平然とした顔で言う人が以外に多い事が現実です。 ケースバイケースの場合も有りますが、そういう人達には、 ”そんなに鉄筋をかつぎたいなら、どうぞ1日中好きなだけ鉄筋をかついで下さい!”と言いたいくらいです。

 そういう考え方はかなり古く、近代的な「ザ・鉄筋屋」は、 なるべく肉体労働にならないように”鉄筋をかつぐ”労力を組み立てる労力に変換して、 常に品質を確認できるように余裕を持てるような頭脳労働とする事が望ましいのです。

 作業員全員がなるべく疲労しないような方法を選択する必要が有ります。 ひとりの人間が、10回~20回鉄筋をかついで必要な材料を移動する事を、 クレーンでは1回でやってくれます。 クレーンを手配した場合、半日分又は1日分の費用が掛かります。 時間を無駄にして、クレーンを遊ばせる必要は有りません。

 各作業員の疲労は、工期や安全面そして採算にも直接反映します。 クレーン等の機械をフルに利用して、肉体労働は機械に任せてその余裕分をその他の作業に変換して充実した工程管理を目指すべきです。

 各作業員は担当した自分の作業の部分的な事を考えていればよいのですが、 世話役(親方・責任者)は、「鉄筋工事全体の効率」を考えなければなりません。

 馬鹿じゃできない「ザ・鉄筋屋」なのです。

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施工計画書・工程表・作業手順書・作業要領書

 経験豊かで熟練された世話役(親方・責任者)は、 「拾い出し」作業の時点で頭の中に「段取り」が描かれています。

 その頭の中に描かれている「段取り」を、今度は色々な方法で各作業員に伝えなければなりません。

 世話役(親方・責任者)と各作業員は、同じものを見て常に同じ事を考えているとは限りません。 100人いれば100通りの考え方や方法が有ります。

 作業当日初対面の「応援の作業員」等、 考え方・方法・要領・作業の能力等、皆それぞれレベルが違います。

 鉄筋工事の場合は、品質管理や配筋検査に重点を置きがちな事が現実で、 どこの世話役(親方・責任者)もそれぞれの方法で使用材料の明細や配筋図はしっかりしたものを用意しているのですが、 鉄筋工事単独の工程表・作業順序・作業分担があいまいな場合が多く見られます。

 独自に鉄筋工事における施工計画書・工程表・作業手順書・作業要領書等書面にまとめておくと、 工程管理がスムーズに進行するはずです。( 言葉だけでの説明よりも”どの作業を!どの方法で!誰が!何をするか!” をハッキリと提示した方が、 作業内容が伝わりやすいという事は、事実です。)

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